運営体制

事業の推進・実施体制

AMEDは、国が定める「医療分野研究開発推進計画」に基づき、現在、医薬品、医療機器・ヘルスケア、再生・細胞医療・遺伝子治療、ゲノム・データ基盤、疾患基礎研究及びシーズ開発・研究基盤の6つの統合プロジェクト及び基金事業による研究開発を推進しています。また、競争的研究費の効率的な活用を図り、優れた成果を生み出していくための円滑な実施を図るため、各統合プロジェクトに、プログラムディレクター(以下「PD」という。)を、各事業に、プログラムスーパーバイザー(以下「PS」という。)及びプログラムオフィサー(以下「PO」という。)を配置しています。

PS、PO等は、本事業全体の進捗状況を把握し、事業の円滑な推進のため、必要な指導・助言等を行います。PS、PO等による指導、助言等を踏まえ、研究開発課題に対し必要に応じて計画の見直し等を行うことがあります。

本事業では以下のPS、POを配置して運営に当たります。

プログラムスーパーバイザー

国立大学法人東北大学大学院医学系研究科 教授

宮田 敏男

プログラムオフィサー

国立大学法人大阪大学 理事・副学長

金田 安史

プログラムオフィサー

株式会社バイオフロンティアパートナーズ 代表取締役社長

大滝 義博

プログラムオフィサー

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科 教授

津本 浩平

プログラムオフィサー

国立大学法人広島大学未来共創科学研究本部研究戦略推進部門 部門長 シニアURA

髙山和江

日本発の革新的バイオ医薬品の創出に向けて

プログラムスーパーバイザー

宮田 敏男

低分子医薬品に対して、バイオ医薬品はまだまだノウハウや経験の蓄積が少ない医薬品です。日本発の革新的バイオ医薬品を創出するためには、単に要素技術やコンセプトを発見するだけでなく、複数の要素技術の組み合わせ、アカデミア、スタートアップ企業、バイオCRO、製薬企業間でのオープンイノベーションの「場」を提供し、多くの課題を抽出して、皆で解決しなければいけません。 そうでなければ、学術的に画期的な成果を出したとしても、生産技術上の課題、知的財産上の課題、薬事法上の課題がネックとなり、バイオ医薬品は生まれません。

AMEDでは、「革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業(2014-2018)」、「先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業(2019-2023)」を実施し、抗体・ペプチド医薬、核酸医薬、細胞医療、遺伝子治療、ゲノム編集、ワクチン、デリバリーシステムなど、バイオ医薬品に関わる多様な研究開発テーマを採択し、必要な支援(知財、契約、非臨床試験、CMC、薬事など)を提供した結果、これまでに導出認定数は約100件と予想以上の成果を創出できました。

これら基盤事業を基に、2024年から5年間の「スマートバイオ創薬等研究支援事業」が開始されます。本事業では企業導出にとどまらず、開発シーズの『臨床ステージアップ』を目標に実践型の開発研究を実施します。臨床試験へのステージアップのために、採択課題の非臨床試験(安全性や薬物動態)、原薬・製剤研究や品質保証などのCMC(Chemistry, Manufacturing and Control)、薬事対応などにも注力しなければいけません。採択された多くの課題は探索的段階であり、研究室レベルでのコンセプト段階です。実用化に繋げるためには、安全性、薬物動態などの基本的な医薬品情報を確保し、それぞれのモダリティに適した疾患を見出す必要があります。バイオ医薬品の実用化には長い開発期間と多額の開発資金も必要です。本事業など公的資金のみで全てを賄うことは難しく、民間資金、特にべンチャーキャピタル(VC)などの投資も積極的に活用することが不可欠であり、企業導出や新規スタートアップ企業の立ち上げなど出口戦略も必要になります。そのため、東北大学、大阪大学、慶應義塾大学、広島大学の専門家から構成される支援班にも参加いただき、ハンズオンでの支援を実施する予定です。採択課題はいずれも革新的なバイオ医薬品につながるポテンシャルを秘めたシーズであり、臨床ステージアップさらには今後の進展がとても楽しみです。

AMED スマートバイオ創薬等研究支援事業を進めるにあたって

プログラムオフィサー

金田 安史

AMEDのスマートバイオ創薬等研究支援事業が令和6年度よりスタートしました。これはAMEDが進めてきた革新バイオ、先端バイオ創薬等研究支援事業の後継として新たに開始されたものです。スマートバイオにおいては従来目指してきた研究成果の企業導出にとどまらず、成果を医療貢献へと結びつけるために、研究成果の臨床応用を実施するところまで持ち込むための支援を行います。単に企業へ導出しただけでは、その成果物が臨床応用されたのかどうかを知ることもできず企業任せになってしまっていました。スマートバイオ事業はその成果物が疾患の予防や治療に役立てることが少なくとも見通せるところまでを支援するものです。
AMEDも令和7年度から第3期に入ります。第3期では、AMEDのプログラム構成を見直し、事業間連携を促進し、AMEDの他の関連プロジェクト、特に、橋渡し研究拠点とも連携して臨床応用を加速することを目指しています。また先端バイオの時と同様に支援班を設置し、臨床研究に持ち込むことを目標にして、研究の方向性を確認しながら研究者の力量を最大限に発揮してもらえるような支援を行って参ります。理事長裁量の調整費も活用しながら、目標の達成を図っていきたいと思います。
先端バイオの時に私は5年間POを務めました。支援班とともに研究者を支援するうちに、企業導出に向かって必要な研究を行うという研究者の意識が次第に高まってきたことを思い出します。本スマートバイオ事業では、すでに約1年弱ではありますが、採択課題の研究者と接する機会があり、研究の進捗をお聞きし、目標に向かって研究を進める方法や体制についても議論して参りました。今回は最初から研究者の取組姿勢が明確で目標に向かおうとする意識の高さを実感しています。臨床応用に向かって進められる研究が評価されて採択されたのではないか、採択に当たって研究者の意識の向上が図られたのではないかと感じる次第です。これからも支援班は研究者と絶えず接触し、その情報を私どもPS・POやAMED事務局と共有して採択課題の目標達成を図る所存です。
AMEDが掲げる理念である「医療分野の研究成果を一刻も早く実用化し、患者さんやご家族の元にお届けすること」に応えられる成果を生み出せるよう、PS、PO、支援班が一体となって研究者支援に取り組んでまいりますのでご期待ください。

世界に発信するアカデミア発バイオ医薬品創出を目指して

プログラムオフィサー

大滝 義博

グローバルな医薬品開発競争に勝ち残るためには、世界に通用する創薬シーズを生み出すアカデミアの研究力と共に、これを迅速に製品化し市場に投入する為の製品開発力が重要となります。この開発段階では、全世界の開発者が競争相手となるため、迅速なエビデンスの蓄積とともに、知財戦略、開発スケジュールの確実な達成に向けたプロジェクト・マネージメントなど、厳格な進捗管理、戦略が要求されます。加えて医薬品は、最終的にヒトの疾患を治療することを目標として製品開発を行うが故、その有効性はもとより、安全性の保証も要求されます。この保証のためにICH(医薬品規制調和国際会議)が発足し、薬事規制に関するガイドライン策定が行われてきました。医薬品開発では、このガイドラインに沿った非臨床試験やヒト臨床試験等を実施し、その結果を持って規制当局の審査を受け、最終的に製造・販売承認を受けなければ、世の中で販売できる製品とはなりません。とは言え、そもそも基礎研究を担ってきたアカデミア研究者が、自ら医薬品候補物質の探索から、非臨床試験、臨床試験、そして、承認申請までの過程を熟知して進めていけることは稀有であり、一気通貫で社会実装まで至るには無理がありました。そこで、本事業では、創薬の過程を熟知している製薬企業在籍者や出身者に参加していただいて支援班を結成、研究者に寄り添って伴走支援しつつ医薬品開発を進める仕組みを構築しています。そして事業終了時には、ヒト臨床試験にステージアップできる所まで到達することを目標に置いています。この創薬システムが我が国の持続的なバイオ医薬品創出のエンジンとなることを期待しています。

アカデミア発バイオ医薬品の戦略的な臨床ステージアップを目指して

プログラムオフィサー

津本 浩平

本事業は、バイオ医薬品の高機能化に資する基盤技術や、創薬周辺基盤技術の要素技術同士の組み合せ、要素技術と疾患応用研究の組み合わせ等により、優れた創薬シーズの研究及び事業開発を推進するとともに、速やかな臨床応用に繋げることで、我が国発の革新的な高機能バイオ医薬品等の具体的創出を目指しています。
本事業の前身となる、革新的バイオ医薬品事業、先端的バイオ医薬品事業は、本邦のアカデミア発バイオ創薬をけん引し、特に、以前では考えづらかった、「企業導出数」を具体的なKPIに掲げ、目標値を上回る成果を上げてきました。本事業は、特に「臨床ステージアップ」を大きな目標としております。その目標達成のための各種支援について、今までの十分な実績と経験に基づいて、さらに充実した体制を構築しています。推進されるすべてのプロジェクトについて、支援班、PSPOとの緊密な連携のもと、研究成果を臨床ステージアップに導くことが要請されています。今後、研究成果の社会実装展開を図る事業推進のモデルとなるものと確信しています。
本邦では、橋渡し研究あるいはTR研究プロジェクト等において、充実した支援体制のもと、優れた医薬品開発が進んでいます。本事業推進は、さらに新たな方向性を取り入れながら、アカデミア発創薬の臨床展開を目標としていきます。
アカデミア発バイオ医薬品開発研究は、モダリティ創薬が本格化し、いよいよ、戦略的な臨床ステージアップが重要になってきます。今まで以上に高いハードルかもしれません。小職自身も,本事業の強力な推進に向け、微力ですが全力を注ぐ所存でございます。御指導,御鞭撻賜りますよう,どうぞよろしくお願い申し上げます。

バイオ医薬品開発の深い谷を乗り越える

プログラムオフィサー

髙山 和江

「スマートバイオ創薬等研究支援事業」は、「革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業」、「先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業」の後継として、バイオ医薬品新規モダリティの臨床ステージアップを目指しています。そのためには、製造方法の開発、非臨床および臨床試験のための戦略作成・実施、それに纏わる資金調達などの「医薬品開発の死の谷」を乗り越えねばならず、アカデミア研究者にとっては非常に困難なものです。

人類はこれまでに数々のパンデミックを経験し、集団免疫獲得やワクチンによって克服してきました。しかしながら、COVID-19パンデミックにおいては、人物流のグローバル化により、ウイルスはあっという間に世界中に広がり、重篤な被害を被ったのは記憶に新しいところです。そのような状況で、世界を救ったのがmRNA―脂質ナノ粒子(LNP)ワクチンや抗体医薬品でした。それ以降、mRNA―LNPは、ワクチンだけではなく、mRNA医薬品へと応用発展し、体内細胞・組織への送達技術も日進月歩で進み、現在、世界では希少疾患治療薬を中心に1000パイプラインに迫る勢いで開発されています。
このポストコロナの創薬の潮流は、遺伝子編集技術を利用した細胞医薬品、核酸・ペプチド等の中分子バイオ医薬品等の開発を刺激し、人類未踏の原料や構造を持つ新規モダリティの創出を加速化しています。

本事業のPOを拝命し、30年前にサイトカインハンターと呼ばれた頃の情熱が蘇っています。アカデミア研究者と共に、国産バイオ医薬品新規モダリティを1日でも早く患者さんに届けることを目標に、PS/POさらに医薬品開発専門人材からなる支援班と「医薬品開発の深い谷」を乗り越えることを目指し邁進してまいります。